『段取り力』 齋藤孝著。 「うまくいく人」はここがちがう。
テレビにもよく出演されている明治大学文学部教授 斎藤孝先生の、とても為になる素晴らしい本でした。
なぜ、普通の?「段取りのノウハウ本」では段取り力が身に付かないか、分かります。
この本と、いわゆる「段取りのノウハウ本」との違いは、
「自分の中にすでにある、段取り力に、目覚めることができるか?」
ということにあるかも知れません。
例えば、ファストフード店には、マニュアルがあります。
高度な段取り力で書かれ、そのとおりに動けば、人は非常に効率的に動くことが出来ます。
でも、そういうマニュアルにしたがってマクドナルドでマニュアルどおり「高度に効率的」な行動をとれたからといって、
他の仕事も、同じように、高度な段取り力で動ける人間になる、とは限りません。
そこには、「なぜ、このマニュアルどおり動けば良いのか」、
自分がマニュアルを作るとしたら、どのように書けば効率的に動けるか、
と考える姿勢が必要で、
その自分の中にある「考える能力」、「すでにある能力」に自分自身が目覚めなければ、
人の言うとおりには行動できても、いろいろな場面で状況に応じて考え、自分で段取りよく行動できる人間にはなれない、ということだと思います。
自分の中に、すでにある段取り力に目覚め、
どのように段階を追って動いていけば効率がよいのか、考える力は、
まず、「それを考えよう」と思うことで、後からいくらでも付けることができるそうです。
「自分で段取りよく動く力 = 段取り力」は、
「高度な段取り力で書かれたマニュアルにしたがって行動」していても、いつまでも身に付かないということ。
そして、どうすれば自分の段取り力をつけることが出来るか。
それを教えてくれたのが、本書でした。
何か人に物を教えようとするとき、
1~10まで説明すれば分かる、と思いがちですが、そうではなく、
相手の中にある、考える能力や素材を引き出し、本人の思考によって、少しずつ、より高度なものをどんどん考え続けられるようにする、
その思考のスパイラルに入るような仕組みを作ったり、きっかけをつくることが、教育ということなのかも。
著者は大学の先生、そういうことを書いています。
これを知るのと知らないのでは、人生全く変わってしまうのではないか、と思うのですが、
「頭のいい人ってすごいな~。」
というのが、本書の感想です。(笑)
「段取り」について考えたい方、人を教えたり指導したりする方には、価値のある一冊だと思います。