子供と、子育てが変わる。 子供に大切なこと。 『田舎のキャバクラ店長が 息子を東大に入れた。』碇 策行 著。
『田舎のキャバクラ店長が 息子を東大に入れた。』碇 策行 著。は、
子供を東大に入れるための本ではありません。
東大に入れるためのノウハウや、勉強のさせ方は書いていませんが、
こんなに立派に成長した子を、合格させられないくらいの東大なら、
東大もたいしたことないな、
と、思える子育てができるようになる本。
子供が、子供自身の頭で考え、自立する。
仕事をしていくうえで大切なことを覚えさせ、
生きていく力を身に着けさせ、
子供を立派に成長させることの出来た、その方法を書いている親御さんの本だと思いました。
「当たり前のことを当たり前にしてきた」という教育方針の中に、一貫性と厳しさを持ちながら、
著者の子どもへの深い愛情とともに、「自分のような思いを子供にはさせない」という覚悟と、自分自身への厳しさが伝わってきます。
子供を信じ、決して裏切らず、子供自身の価値観や責任感、可能性を信じて、それを子供に伝えてきたことで、信頼関係を作り上げ、
結果として、東大に合格したという感じですが、
子供が、子供自身の選択で人生を生きていくことが出来るようになる、というのは、
ある意味、子供を親の意図通り育てるという、親の心が落ち着くレールから外れ、
それを認められない親心が、
子供の決断を正しいものとせずに、親自身の判断を正解とすることで、自信を奪い、結果として、自信のない、
人から簡単に利用されてしまう人を育ててしまう、という側面もあるのかもしれません。
もしかしたら子育ては、「子どもに、どれだけ自信を付けさせられるか?」
自分でした選択を、他人の意思に振り回されることなく信じられるか?ということが大切なのだと感じました。
両親に捨てられた過去を持つという著者は、大人は嘘をつく存在で、信じられないと思って育ちましたが、その分、反骨精神、自分自身を信じる力がついているように思いました。
周りを信じられない分、自分を信じるしかなかったのかもしれませんし、
辛さや悔しさが、著者を強くしたのかもしれませんが、
対して、キャバクラで働く女の子たちは、どれだけ美しくても自分に自信がない。
その対比が見事で、自信のない女の子達が、人の言うことや態度にふらつき、
幸せになれない選択をしてしまう様子が、痛々しくも、リアルに書かれていました。
そして、親なら、子供をこんな不幸に成長させてはいけない、と思えました。
子育ては、親のいなくなった後にも、
子供自身が自分で道を選択をして、幸せに生きる力をつけることにありますが、
それには、絶対に自分を信じる力、自信が必要で、
それをこの本で再認識した時、
子供のすることに、一つ一つうるさく口をはさんで誘導するのは、愚かな行為なのだな、と感じました。
子供を、一人でも生きていけるようにする。
子供は、親の付属物ではなく、
独立した人間で、
正解を親が決めるのではなく、
子供なりの正解を決めさせること。
この本に、細かいノウハウはでてきません。
けれど読めば、どうすればよいかは、分かります。
”親が子供に求めるものはたくさんあります。
勉強はできてほしい、性格はおだやかでいてほしい、やる気のある子でいてほしい。
子供がそれらをぜんぶ実現することは難しい。
だから親はカンタンに子供を褒めることができない。褒められないから、子供たちは自信を持つことが出来ない。”
私も、本で指摘されているとおりの子供への接し方だったかも、と思ったのですが、
著者が、何を大切にし、
どのような考えで子供と接してきたかが書いてあるだけなのですが、
読むと、「こうしていこう」という、読んだ人なりの正解にたどり着くことができ、
子育てが変わる人も多いと思いました。