『下剋上受験』 格差社会の現実に目が覚めるベストセラー本。 勉強するモチベーション。読むと我が子の一生が変わるかも。
『下剋上受験』は、中卒の両親を持つ娘さんが、お父さんと二人三脚で最難関の中学校「桜蔭中学校」を目指したノンフィクション。 ベストセラー本です。
著者はこの中卒のお父さんで、御本人の書いた本を読むと、中卒で生き抜く人生って大変だと思える。
中学卒の親の子は、中途半端な学歴になることが多く、子々孫々めったなことでは、一流学歴の世界に入れないと書かれていて、著者の実体験されている多くの現実が垣間見られます。
「中卒」だけでなく、高卒の親の子も、大卒の親の子も、それぞれのレベルで階層のスパイラルにハマっており、そこから一生、そして代々なかなか出られない。
そのことに、普段本当は気づきながらも、目を背け、自分より下を見て自分を慰めどこか納得させスルーしがちな、見えないピラミッド構造がある。
日本にある格差社会の中に、誰もがいる、という現実を極端な形で書き、
私は自分の子にどういう教育をするのか、どういう人生を歩んで欲しいと思っているのか、と考えさせる力がありました。
ちゃんと学校に行かせていて、
読み書き計算を習わせ、
テストで良い時も悪い時もあるけれど、でも点数の良い時もあるし、
あまり気にせず、
おおらかに、のびのびと。
学校の成績もそんなに悪いってほどじゃないし、とくに問題なし。
小学生の今は、こんな感じでいいんじゃないかな。
子供らしく、子供時代を楽しんで欲しいな。
こう思ってのんびり過ごしている家庭。
ウチもそんな感じの一つでした。
この「下剋上受験」には、そう過ごした先に何があるか、
中卒の著者が、のんびり過ごした子供時代の将来を、リアルに書いています。
確かに今の時代、中卒はめずらしいし、少数派で、
自分の子供を、高校ぐらいは出そうと思っていたり、
超一流校じゃなくても、大学出そうと思っていたりすると、
我が家には関係ない話だと思いがちですが、
これが、実はそうじゃなく、
この本を読んで、私の父が、会うたびに私に言う話。
「俺たちの時代は良かった。 しかしこれからは違う。 孫の時代は大変だ。中間がない。 金持ちと貧乏がはっきり分かれる」。
「金持ちはどんどん金持ちになるし、そうでない人は、少ない収入で暮らさなければならない」。
「今が一生を決める。 しっかり孫(私の子供)に勉強させなさい」。
という言葉が、頭に浮かんできて、
目が覚める気がしました。
「これから大変な時代、嵐が来る」と、知っている父と、
知らない(現実としてさほど自覚していなかった)私。
それに備えられるか、備えられないか、
これが、格差社会の始まりの差かもしれません。
本当はもうすでに困り始めているのに、
知識がなく、困り始めていることにさえ気がつけない。
そもそも自分が何に困っているのかが分からない。
だからもう、自分では解決できない。
知識を持って対応できなかった親の子供は、トップではない高校や大学をでて、
お金持ちになれず、
その子供の産んだ子供も、やはりお金持ちになれない負のスパイラル。
教育には、お金がかかる。
東大生の親(半分以上は年収950万円以上)の子供は、教育に力を注がれ、高学歴となり、
子供の産んだ子供も教育され、下働きの一生を送らないような学歴、資格を取り、金銭的に生涯恵まれる。
そして、それが代々続くように教育される。
多分これが、格差社会のスパイラルで、
ここから抜け出すのは、まさに下剋上。
さほどにはお金に困らない家庭に育ち、
そんな中流家庭にどっぷりとつかり、
だから我が子の将来も、こんな感じで「普通」にいくのだと、認識しがちな現実もあると思います。
のんびり子供の教育を考えていても、この本を読んだら、
もしかしたら子供の一生が変わるかも。
そうなりうる一冊だと思いました。