『「学力」の経済学』 中室牧子著。 理論的データーで証明する、幼児、子供教育の重要性。 林先生の初耳学で紹介された「国民が持つべき一冊」。
アマゾンで、教育学部門でベストセラー第一位を獲得『「学力」の経済学 』 中室牧子著。
” TBS系列「林先生が驚く 初耳学」(2016/9/25,10/9,11/6放送)で
「日本国民全員が一冊持つべき」と紹介された話題の一冊! ”
(アマゾンの紹介文より)
特徴は、子育てを、経験や資格(教員資格などの教育コンサルタント的な立場)の意見で語っていないこと。
著者は教育「経済学者」慶応義塾大学の准教授 中室牧子先生で、
子供への「投資」(塾代など、かけた教育費)と、
子供自身が稼げる「収入」(収益)の関係をデーターとして数字で出した、
まさ「学力の経済学」。
「子供はいつ、どの時期に、どんな教育をすれば、
将来の収入(収益率)が大きくなるか」などを、
実験データーに基づいて検証。
非常に理論的な本でした。
アメリカで行われている約40年にわたる教育実験では、
貧困家庭の就学前のランダムに選ばれた子供たちに、
修士号以上を持つ教師たちが少人数制で担当する幼稚園に通わせ、読み書きや歌のレッスン、さらに週に1.5時間以上の家庭訪問をするなど、就学前の幼児期に非常に手厚い教育をし、
その後約40年にわたる追跡調査をしたところ、
その後の人生において、同じ条件で選ばれなかった子供たちと比較、
大きな収入格差などがあったという実験結果などから、
教育費を、なるべく子供が小さいうち(就学前など)に使うと、その後の収益率(収入)が大きくなる可能性が高いと結論づけています。
(その実験「ペリープログラム」。 こちらのサイトにも記事載っていました。『東洋経済オンライン』のページ)
幼児教育というと、「そんな小さいうちから?」と疑問に思われることも多く、
幼稚園児に家庭教師?(家庭訪問)というと、驚いてしまいますが、
意外な実験結果に、「常識から離れている?」という「感覚」だけでは真実を見落としてしまうこともあるようです。
その答えが過去の「実験データー」から、ぶれない内容で書かれ、
そして、その内容が多くの人の思い込みとは大きく違っている、
という驚きの展開でした。
正直に言って、親が投資をして子供が稼いでも、
それが親に還元されて帰ってくる、とは限らない気がするのですが、
(子供自身で使い、親に収入が入って戻ってくるとは限らない気がする…。
というか、元を取るまでは戻って来ない予感満載。(笑))
子供がある程度の収入をもち、人生に満足するというような、
子供自身の幸せを考えるなら読んだ方がいいかも。
子育ては、経験や思い込み?などの個人的意見から語られたりアドバイスされることも多いですが、
どうすればいいのか、という究極一つの正しいものは、結局あまりよく分かっていないのではないか?と思うことがあります。
子育てのアドバイスも、A教育評論家は「こうだ」、といい、B氏は「ちがう」と言って、
双方の答えが真っ向対立し、
アドバイスを受けたい相談者が、どちらを信じたらよいかを迷う、
という展開が多々ありますが、
ハッキリとした研究データーの数字だと、そうなのか、と納得できる感じでした。
ゲームは本当に子供に悪影響を及ぼしているのか?
ご褒美で釣っては本当にいけないのか?
就学前の子供に幼児教育を施すことは、あまり感心しないことなのか?
就学前、小学生と高校生、どちらに教育したほうが、将来の収益率が上がるのか?
いつ、どのような教育を施すことが、子供本人にとって満足度の高い人生を送ることにつながるのか?
というようなことも、データーで示され、
ちまたで言われてきたような都市伝説? 子育ての経験論? をバッサリ切り捨てる感じ。
ここらへんが、ちょっと痛快でした。
こうだろう、という思い込みに頼らず、
データーを真正面から受け止めて、実践してみる。
そろそろ子育ても、思い込みではなく、何が本当に真実で、有効な手段で、子供自身が幸せになれる道かを理論的に見極め、
科学的データーに基づいて、
子育てに反映していくのが良いのではないかと思いました。
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